2016年6月9日木曜日

『罪と罰』を読まないを読んだ

初めてタイトルを見たとき「いや読みなよ!」と思った
読まないを読んだってちょっと面白い。
でもこの本は本当に読まないで読んでいる。
読まないで読んでいること、結構あるんじゃないか?

私は長年読まないで読んでいてついに読んだ…!ということ結構ある。
特に世界的に名作とされている作品。あらすじどころかオチまで知っているがちゃんと読んだことはないという作品もある。

どういうことか説明すると、この本は、翻訳家の岸本佐知子、小説家の三浦しおん、クラフトエヴィング商會のお二人といった面々で、かの有名なドストエフスキー著『罪と罰』の読書会を行った様子が本に記録されているのだが、一風変わっているのが全員が「全員本に関する仕事をしているし、なんとなくあらすじは知っている。
「たしか、主人公がラスコーなんとか」
「おばあさんを殺しちゃうんじゃなかった?」
でも『罪と罰』をちゃんと読んだことがない!」という状態で未読座談会をスタートする。
それって大丈夫なのか。

本の仕事をしている人に『罪と罰』を読んだことある?と訊くと最も多い答えが「昔、読んだことがある」と答なのだという。

かくいう私も『罪と罰』読んだことある?と訊かれたら、
「もちろん!(…ただ昔一度読んだだけだからあんまり内容覚えてないかも…)」
という感じ。主人公の名前がラスコーなんとかで、ソーニャという娼婦が聖女で…うーん
つまり読んでない人と同じくらいの知識しかなくなってしまっている…

「読んだ」と「読んでない」に大差がないのなら、読まずに読書会を開くことができるのではないか?
すなわち『罪と罰』という小説を読まずに『罪と罰」について徹底的に話し合うことが出来るのではないか。
という思いつきをとことん実行したのがこの本である。

私もこれを機に少し『罪と罰』を読み返してみたのだけど、正直スベ公のことは完全に忘れていた
そんなことある?副主人公だよ(副主人公であることも知らなかった)
ラズミーヒンに関してもなんかそういやいたなくらいのことしか覚えていない
ロシア人の名前がややこしすぎるというのもある。
主人公の名前はロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ。長すぎる。
しかも時々ロージャとか愛称が出て来て混乱するし…

あと『罪と罰』について思い出そうとすると数年前に読んだドストの『罪と罰』をベースとしながらも日本の若者を主人公とした落合尚之の漫画『罪と罰 A Falsified Romance』のシーンが出てきてしまう。娼婦の代わりに援助交際をする女子高生、妹の代わりに姉が出てくる。結構面白い漫画なのでおすすめです、全10巻。

話が逸れてしまったけれど、未読なのに読書会をする様は面白い。
読まずに読む、つまり本を読まずに本の内容を推し量る。
冒頭の数ページだけ読んでどんな話なのか想像したり、適当に開いたページだけ読んで事の次第を推測したりする。
三浦しをんさんが突然出てきたラズミーヒンという名前だけを見て「誰?馬?」と発言していたのにめちゃめちゃウケた
完全にヒンの響きに引っ張られている
ラズミーヒンは最終的には「修造」と呼ばれていた

本書では最終的にはみんな真面目に読んで、読んだ上でまた読後の座談会を行うのですが、その内容もとても面白かった。
岸本佐知子さんがラスコのことを「突然帰るマン」とあだ名していたのもウケた

私もそうだけど、超名作を「読んだことない」「知らない」と明言するのはなんだか憚られる。
でもこの本は「『罪と罰』を読んだことがない」というマイナスポイントを「読んだことがない者だけが楽しめる遊び」に転じてしまおうとする悪あがきである、と書いてあって笑った
読む前も面白いし読んでも面白い。たのしいね。
実際この本を通して『罪と罰』の面白さを再認識した。

『『罪と罰』を読まない』を読まない
なんていわずにちょっと読んでみて

もちろん『罪と罰』も読んでみて

0 件のコメント:

コメントを投稿