2017年8月28日月曜日

Documenta14 2017

Documenta14 メモ

1日目
フランクフルトから鉄道でカッセル中央駅にお昼頃到着。
Kassel Hauptbahnhofとは別にKassel Wilhelmshohe Bhfという駅もあるので注意。
bahnhofが駅という意味らしい。略してBhf
Hauptが中央みたい。中央駅は略してHbf
今回は中央駅近くに宿泊したため、中央駅に止まる列車でカッセル入りしたが、普通はヴィルヘルムスヘーエ駅にまず行くのかもしれない。
中央駅を出てすぐドクメンタ会場と過去のドクメンタの作品があるのでテンションが上がる。
今回観れなかったが、中央駅の中の映画館も展示会場になっていて映像作品を上映している。

まずはスーツケースを宿に預けた。
ドクメンタ会場はリュックサックなど背負うタイプの鞄の持ち込みが禁止の会場が多く、荷物預け場所もあるのだが、いちいち預けるのが面倒だったため、リュックは宿に預け斜め掛けの小さいポシェットとトートバッグで会場を周った。

事前に2-day ticket(€38)を購入。2日かけてドクメンタ会場を周るつもりだったが、1日目はカッセルに到着し宿に荷物を預け、ということで慌ただしく、また水の芸術(ドクメンタ時期でなくても毎年やっているが)を観に行ったため、2会場しか観れなかった。
Evening ticket(€10)という17時以降から観れるチケットもあるので、1日目の到着が遅くなりそうだけど展示も観たい場合はそっちを買った方が良さそう。
展示は大体20時まで。8月中旬のドイツは1920時くらいまで外が明るいのもよかった。

FORMER UNDERGROUND TRAIN STATION
documenta14 in Kasselは地下空間から始まる。
1会場め。カッセル中央駅前の広場にドンとコンテナが置かれていて、そのコンテナの中へ次々と人が入っていく。どんな展示なのか気になってまず最初に観た。
ここの入り口でまずはドクメンタ14の無料mapを入手。
けしてわかりやすい地図ではないですが、早めにこの紙mapを入手しておくと計画が立てやすいと思います。
昔、地下鉄の駅だった場所を展示に使っていて面白い。
線路の上を歩いて作品を観て周り、トンネルを抜けるとそこはカッセルの街。
NEUE NEUE GALERIEと導くサインがあったが、我々はBergpark WIlhelmshoheで行われる水パフォーマンスを観るため、いったんまた中央駅前へと戻った。


・水の芸術
中央駅前からバスに乗ってカッセル・ヴィルヘルムスーエ駅へ。
日曜日でDBinfoが閉まっていたこともあり、切符をどこで買えばいいかよくわからなかった。
そこからトラムで公園入口へ。
山をトラムで登っていくのは本当にたのしい。
そこからさらにバスに乗ってヘラクレス像へ。
もちろん公園入口から歩いて行くこともできるがこの後1時間以上にわたり水の芸術を鑑賞することを踏まえ、楽な方を選択した。
ようやく水の芸術のスタート地点であるヘラクレス像ふもとへ到着。
トイレはここで行っておくとよいと思います。
後は水の流れを追いかけながら1時間半くらいかけて公園を降りていった。
すごく人が多くてみんな水のショーを見終えたらどんどん移動していく。フジロックみたいだった。
一番最後は25mくらいの高さの噴水。


NEUE NEUE GALLERY
NEUEとは別にNEUE NEUEという会場もあるのでややこしい。
NEUE NEUEの方は昔郵便局だった場所を会場に使っている。
街の小さな郵便局の跡地みたいなイメージで行ったらめちゃくちゃ大きい建物で展示面積も広く、作品数も多かった。1フロアだけかと思っていたら、別のフロアもあり、結構見応えあります。
印象的な作品が多かったので、フリデリヂアヌム周辺のメイン会場プラスどこか1会場観るならここがいいかも。前述の中央駅前の地下鉄空間展示と併せて。
メイン会場と比べると新作が多い印象。


2日目
今日こそはメイン会場を観て回るぞ!という気合と共に起床。
泊まったホテルの朝ごはんがおいしかった。
というかドイツのホテルの朝ごはんはどこもソーセージとパンがおいしかった
室内の調度もかわいらしく、部屋に冷蔵庫ない以外は満点。

カッセル中央駅からメイン会場がある広場まで歩いて行った。
広い道をまっすぐ行くだけで着く。噴水があったりする。
この周囲の風景をよく見ておくと、後述する展示作品でおっと思える。

段々今回のドクメンタのシンボルである発禁本でできたパルテノン神殿が見えてくる。
近寄ってみると作りは雑だがなんでこの本が検閲にひっかかったのか?となど面白い。

GRIMMWELT KASSEL (グリム兄弟博物館)
メイン会場から少し離れたところにある。
ヴィルヘルムスヘーエ駅からトラム1本で行けますが、歩ける距離なので時間があれば歩いて行くことをおすすめ。
2015年にできたばかりの博物館。
ドクメンタ関連の展示スペースは少ないがおすすめ。
特にグリム童話に興味のある人、また博物館の展示計画に興味がある人は絶対訪れてほしい!
カッセルを訪れるまで知らなかったけど、兄弟が人生で最も多くの時間を過ごしたのはカッセルだったんですね。
とてもいい博物館、展示方法にも工夫があって、グリム童話の博物館ね~メルヘンな感じ?と思って行くと驚く。子供も大人も楽しめるような。
チケットのデザインもかわいい幾つかパターンがあり、人によって違う。
丘陵に馴染むような階段状の建物で、外階段から登れる屋上からは、カッセルの市街地が見渡せる。眺望の良いカフェもあるので休憩するにもいい。
博物館のあるWeinberg TerrassenにはRebecca Belmoreの作品、大理石でできたテントもあります。


MUSEUM FUR SEPULKRALKULTUR
グリム兄弟博物館のすぐ隣にあったので行ってみたけれど、良い建築。
髑髏が墓地で踊っているという図柄の博物館の旗を観てなんとなく理解したが、
美術館の名称であるSepulkralkulturとはラテン語で墓や埋葬を意味する「sepulcrum」と文化「kultur」から成る造語のようである。
死にまつわる文化を展示する美術館とはなかなかユニークだなと思う。
実際、ドクメンタ作品以外の常設展も面白かった。世界の埋葬方法とか。
テーマと反して、サンルームのように光の差し込む気持ちのよい、レベルの違いが面白い建築だった。
建物入ってすぐの展示室の、Prinz Gholamという2人組の映像作品が面白かった。
2人の男性が墓地で厳かに慎重に、でもどこかエロティックに絡み付くコンテンポラリーダンスのような動きをするみたいな内容。
後で調べてわかったことだが、このサイトに掲載されているの作品の静止画像をクリックすると、2人の「型」の元ネタを見ることができる。
ドラクロワなど、絵画作品から人物のポーズを抜き出して再現し、反復する。
映像作品と関連するドローイングも展示されていた。


NEUE GALERIE
入ったらちょうどOtobon Nkangaのパフォーマンスをやっていた。
メイン会場は旧作が多く、記録と閲覧、ドキュメント、歴史、コレクションという側面が強い。
ナチスもまた「アテネから学」んでいた歴史。
というかPiotr Uklanskiというポーランド出身の作家による『Real Nazis』というタイトルのナチス高官の顔写真がずらっと並ぶ作品の印象が強すぎる。
これがナチスの「顔つき」かという感想を抱いてしまったが、それってナチスの優生学思想と同じ考えだと気づいて何だかおそろしくなる。
関連してSergio Zevallosによる骨相学のプロジェクト『A War Machine』の展示も観ていて良い気持ちがしないが面白い。
ともすれば暗くなりがちな展示内容と、反対に明るく陽の差し込む白くまばゆい側廊
新しく改修されたばかりの綺麗なギャラリーである。

ORANGERIE
展示されている作品は建物内に映像作品が1点、屋外にAntonio Vega Macotelaの大型彫刻が1点だけだが、広大で気持ちの良い公園なので晴れていたらおすすめ。
イタリアン・ジェラートを食べながらメイン会場の広場へ戻る。

FRIDERICIANUM
ようやくメイン会場。普通はここを最初に訪れる人が多いと思うけど。
人が一番多く、作品数も多かった。
ギリシャの国立現代美術館の収蔵作品が展示されている。
深刻な現代アート疲れに陥り、1階のParliament of Bodiesという作品内で寝転がって休憩した。
建物を出て、右手にある地下への階段を降りるとBen Russellの映像作品が数点ある。

DOCUMENTA HALLE
観るべきものがあまりないので時間がなかったら飛ばしてもいいかなと思う。
入口入ってすぐのカナダのBeau Dickのファーストネーションズのマスク作品はちょっと面白い。Kwak' walaz族の酋長らしい。
バンクーバーを訪れた時に散々観たから新鮮味はなかったけど。
UBCの博物館はアクセス悪いけどおすすめです。
あとMIRIAM CAHNの小部屋もよかったです。

NATURKUNDEMUSEUM IM OTTONEUM
建物の前に大きな恐竜がいる。自然博物館か何かだと思う。
この会場に展示されていたAkinbode Akinbiyiの白黒写真作品がよかった。
その作品が載っているドイツのアート雑誌を買ってしまった。

GLAS-PAVILLONS AN DER/ON KURT-SCHUMACHER-STRASSE
ガラス張りの展示室の中には入れない。
外から作品を鑑賞する。
1部屋だけ室内に入れる展示があって、地下もあるので見忘れないよう注意。

・その他
アテネとの関連を感じさせる作品は多い。
GWにアテネ会場にも行っておくべきだったかとも思う。
カッセルの後、ベルリンを散歩していたらギリシャ料理屋が何軒もあってドクメンタで展示されていたもののことを考えた。

あと今年のヴェネツィア・ビエンナーレのドイツ館のパフォーマンスは観たかった。
キュレーターはフリデリチアヌムの館長で、Anne Imhofによる『Faust』は金獅子賞を取った。私は動画や写真で観ただけ、それでもただならぬものを感じる。

PAPERMINTという小さなギャラリーに17時頃行ったら閉まっていた(たぶん15時とかまで)
メイン会場から近いがちょっとわかりにくい細い道にあるので注意。
近くに大きなミッキーのグラフィティがある。

TOFUFABRIKで佐川一政本人が自身の「パリ人肉事件」について語っているドキュメンタリーが上映されていると話題だったが、まあいいかなと思って観に行かなかった。なんで今?とかこのドクメンタで?という気もするし。白人女性への劣等感この会場はメイン会場から離れた場所にある。

全てを鑑賞し、理解しようとするのは無理だし、仕事でもなければその必要もないと思う。


カッセルの街と目に飛び込んでくるアートを楽しめばよい。