2016年4月19日火曜日

美術館のたのしみ方

①行くまでをたのしむ
美術館に行く前段階として、まずはどこそこの美術館にてこういう展示があるということををインターネットかチラシか人からのおすすめなどで知り、おもしろそう気になる行ってみようと思うわけです。
あの作品が展示されているらしい
作家の誰それの新作が発表される
今漠然と興味を抱いていることがキュレーションのテーマだ
なんとかさんがツイッターで面白かったと言ってた
どんな展示なのかな
よく行く美術館の年間スケジュールが発表された
なんとかの大規模個展だと
チラシのデザインがかわいい
惹句がウケる
などなど、色々あると思いますが、まずはこの前情報に対する感想と期待の気持ちをたのしみます

②道のりをたのしむ
さて、美術館に行く日がきました。
美術館に行こうとするとまず遠くから美術館に近づいて行きますよ
例えば品川駅から歩いて原美術館まで行く時とかのあの感じです
清澄白河駅から歩いて東京都現代美術館に着くまでの間に2つやっている企画展のうちどちらから観るかなどを考えているときもそうです。
電車やバスを乗り継いでちょっと遠くの美術館に行くこともあると思います。
ずっと訪れたかった美術館に初めて行くときはドキドキしますね
この前信楽のMIHO MUSEUMを初めて訪れたのですが、最寄り駅からバスで50分、1時間に1回しかないバスに上手く乗れるか、乗った後もどんどん山奥に入っていくのでドキドキしました。
まずはそのアプローチをたのしみます。

②美術館の外観をたのしむ
美術館に近づくとだんだん建物が見えてきます。
まずはその見えてきた外観を楽しみます。
もちろんパリのポンピドゥーセンターみたいにメトロから地上に出たらいきなりドーンと建っているみたいなこともあると思うんですけど
庭園美術館のようにじわじわとアールデコな建物が見えてくるあの感じです
ちょっと立ち止まって観てみてもいいです
何度も行ったことのある美術館でも、お天気・時間・季節・こちらのエモーションによって表情が異なっています
建物目当てに美術館を訪れることもあります。例えば千葉のホキ美術館などがそうです。
でも誰それが何年に設計したとかは知っててもいいし知らなくてもOK

③美術館の内観をたのしむ
建物に一歩足を踏み入れたときの感じをまずたのしみます。
外観から持っていたイメージとの違い、第一印象などがたのしみポイントです
エントランスホールに気合を入れている美術館は多いと思います。吹き抜けているとか。
あと美術館の中から窓を通して外を見てみる。ここに気合を入れている美術館もいます。
他にも採光の仕方とかサインのデザインとか(トイレこっちですとかのやつです)展示室のレイアウトとか動線とか美術館によって様々な気合入れポイントがあると思うので、そこをたのしみましょう
元々は美術館ではなかったところを展示空間としている美術館もありますね。
例えば富山の発電所美術館とか。発電所のままだったら一生入らなかった空間です。
美術館ではなかったときのことを想像してみるのもたのしいです。

④チケットをたのしむ
美術館に入ったらたいていチケットを買うと思います
チケットの値段を見て改めて「この値段分たのしんでやるぞ、絶対にだ」と決意を新たにします
チラシデザインとほぼ同じの場合もあれば
ちょっと凝っているデザインのもあるし
人によってチケットのデザインが違うこともあります
私は群馬のハラミュージアムアークのチケットのデザインが大好きです。
あと使われている作品は今回の推し作品だと思うのでなんとなく覚えておきます
もちろん推しっていうか有名とか見栄えがいいとかキャッチーとかそういう理由もあるのかなと想像しています
私はチケットに使われている作品を観ると「チケットに使われている作品だ~」と思います
実際観るとこんな感じなのか~というたのしみ方をしています

⑤会場構成をたのしむ
最近は企画展の会場構成を建築家が手掛けていることも多いですね
通い慣れたハコでも会場構成によって全然違って見えてくることがあります。
会場構成は展示が終わってしまえば撤去される、いわばエフェメラな建築の一つであり、後からは会場写真や図面などを通してしか知ることができません。
空間を体験できるのは展示期間中だけです
これはかなりおたのしみポイントかと思います
順路がないタイプの会場構成も時々ありますね
京都国立近代美術館でやっているオーダーメイド展は自分で順路を選ぶ展示でした。

⑥作品をたのしむ
そもそも何をたのしみに来たのかというと展示されている作品をたのしみに来たのでした
たのしみ方は無数にあると思うのですがポイントは

・目の前に実物が存在している
・おそらく鑑賞に最も適した環境が用意されている
 (残念ながらそうではない場合も多いのですが)
・この展示空間は今、この展示期間中しかない
・その空間を他者と共有している

という点にあると思います。
それらを踏まえた上でたのしみポイントをいくつか挙げると

・作品を把握し(コンセプト・素材・手法など)自分なりの評価をする
・作家からのメッセージを(勝手に)受け取る
・提起された問題について自分の立場から考える
・制作当時の歴史あるいは現代社会の流れを知る
・他者の思考の一端に触れる、知らない人の個人的な記憶にアクセスする
・まったく観たことのない光景・事象・モノが観られる

などなど。あと私は以下のようなことを考えながら観ていることもあります。

1個持って帰って自分のものにしても良いと言われたらどれを持ち帰りたいか、家にどう飾るか考える
・作品の値段。なぜ高いか。自分が値段をつけるとすれば。これから売れそうなのは。
・おもしろいものがたくさんならんでいるところをお散歩
・作品あるいは作家を一言で表すキーワード、惹句などを考える
・よくわかんないけどウケる→何がわからないのか。なぜウケるのか
過去に他の場所で観た展示や自分が最近考えていることと今観ている作品を結びつける

⑦写真を撮るというたのしみ方
あと最近では写真を撮ってインターネットにアップすることを奨励するような展示も多いですね。
先日行った森美術館もそうでした。
この作品だけ、このエリアだけ写真OKですという場合もあります。
展示されているブツに対して写真を撮るそれをネットに上げるというアクションを起こすのもたのしみ方の一つとして定着しつつあるのだと思います。
このたのしみ方について否定的にも肯定的にもなれないのは、展示空間におけるふるまいとして完全にダサいあるいは下品と思うのですが写真OKと言われると私もついつい撮ってしまうからです
ヴェネツィア・ビエンナーレに行った時など、気軽に再訪できないということもあり記録もかねて死ぬほど写真を撮りました。
なぜ撮ってしまうのか?なぜ撮ることに全肯定的になれないのか?を考えるのもおたのしみポイントになりつつあります。
ルーヴル美術館に行ったらみんな自撮り棒で作品と自分のツーショットを撮っていてウケました。

⑧ミュージアムショップをたのしむ
展示の図録が売っています。ここで買うと重いですが興奮して買ってしまうこともあります。
他にも最近死ぬほどグッズ展開している展示も数多いですね。
グッズを売るために展示しているのかよと思うこともあります。
Bunkamuraの国貞×国芳展に行ったらグッズ展開に余念が無さ過ぎて笑いました。
どの作品がどのようにグッズに適用されているか?どの作品がキャッチーなのか?
何故こんなグッズの企画が通ってしまったんだろう、売れるのか?
など丹念に見ていくと面白いです。
引き伸ばされても縮小されてもトリミングされてもなんかだせえロゴを入れられてもそれでもなお人に強く訴えかける力がある作品もあるということを知ることもできます
あと実物を観たばかりの余韻の中で小さなポストカードを観ると全然良くないorなんか実物より良くない?これくらいのサイズの方が…というような見方もできて面白いです。
インスタレーション作品は、他の会場で展示された写真を観るのも面白いですね。
美術館のオリジナルグッズをチェックするのもたのしみの一つです
ロゴが入っているだけかよ、というのもあればいい感じのやつもあります。

⑨カフェやレストランをたのしむ
いろいろたのしんで疲れましたね。休憩しましょう。
美術館併設の飲食施設もたのしみの一つです。
レストランは高いのでたまにしか行かないですが、カフェでちょっとお茶はよくします。
美術館の高いレストランといえば1回だけMOMATのラー・エ・ミクニへ行ってフレンチのコースを食べました。
あと国立新美術館の浮いてるレストラン、ブラッスリーポール・ボキューズミュゼにも行ったことがあります。いつもは大体地下の飲食スペースでハヤシライスです。
横須賀美術館のレストランは眺望が最高なのでよく晴れた日におすすめです。
根津美術館の離れのようなカフェはお庭がたのしめます。
MOTのカフェ・ハイのモロッコパイとあずきのチェーが大大大大好き
原美術館のカフェダールはイメージケーキが有名ですが、写真を見て満足してしまって食べたことがありません
三菱一号館美術館のカフェも素敵な空間です、展示がやっていない時期にアフタヌーンティーをやっているそうなので今度行ってみたい。

⑩家でもたのしむ
美術館を出て、家に帰ってもまだたのしめます。
家のソファに座ってゆっくり図録を眺めたり
買ったポストカードを部屋のどこかに飾ってみたり
その作家の著作や作品に関する本を読むのもいいと思います。
また、同じく展示を観た人の感想を検索して読むというたのしみもあります。
自分が感想を書いてみるのも良いです。
関連する展示が同時に他の場所で行われていることも多いので調べてみましょう
次の行きたい美術館が見つかります。

以上、美術館の10のたのしみでした

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