2016年4月7日木曜日

僕たち私たちのくにくに

歌川国芳「相馬の古内裏に将門の姫君滝夜叉妖術を以て味方を集むる」

Bunkamuraでやっているボストン美術館所蔵の浮世絵展、その名も"俺たちの国芳 わたしの国貞"に先日行ってきた。 

展示タイトルと「幕末の浮世絵両雄(ツートップ)が渋谷で激突(マッチアップ)」とかいうコピーを見てイキってんなと思っていたけれど、そのイキリっぷりがむしろ面白かった。
 国芳は男衆が好みそうな戦記物のヒーロー画を描くことが多く、国貞は美人画やアイドル役者を多く描いたことからこのタイトルになったようだ。

 現代は、画像検索ですぐさまヴィジュアルを手に入れることができる。 
インターネットはおろかテレビも雑誌もない江戸時代に、浮世絵こそが最新のエンタメや流行のファッションを世に伝播するメディアで、好きなカブキスターのブロマイド写真だったんだ…ということを改めて感じることのできる展示だった。 

作品数的にもかなり見応えがあるし、趣向を凝らしてキャッチーな展示会に仕上げているので、浮世絵にさほど興味がなくとも行ったら面白いと思う。いきなりプロジェクションマッピングとかやってて猫がぴょんぴょんしている。 

いくつかの章立てをして作品を紹介していたのだが、
・髑髏彫物伊達男/スカル&タトゥー・クールガイ
・物怪退治英雄譚/モンスターハンター&ヒーロー
・畏怖大海原/ホラー・オブ・ウォーター
・異世界魑魅魍魎/ゴースト&ファントム
・天下無双武者絵/サムライウォリアー
・三角関係世話物/トライアングル・オブ・ラブ
・千両役者揃続絵/カブキスター・コレクション
・楽屋裏素顔夢想/オフステージ
・痛快機知娯楽絵/ザッツ・エンターテインメント
・滑稽面白相/ファニー・ピープル
・今様江戸女子姿/エドガールズ・コレクション
・四季行楽案内図/フォーシーズン・レジャーガイド
・当世艶姿考/アデモード・スタイル
とめちゃくちゃなカタカナのルビをふっていた。 
魑魅魍魎の魑魅魍魎感ってすごい、ゴーストやファントムでは追いつかない。 

何となく西尾維新の小説を思い出した。 
愚礼礼賛(シームレスバイアス)みたいなやつです
自殺志願(マインドレンデル)…おお我が中二病 

それはさておき。
歌川国芳「荷宝蔵壁のむだ書」
国芳の描くフニャフニャのむだ書きやファニーピープル、いわゆる戯画がめっちゃ面白かった。
バカ…笑という感じで江戸時代の人を身近に感じた
天保の改革で風紀を乱す役者絵や美人画を描くことが禁止されてしまったからこういうふざけた絵を描いたらしいんですけど

江戸時代の人も高級遊女の浮世絵を見て「二次元の女萌え…」とか思っていたのかな。

アニメの女は目が大きすぎるとか言うけれど、浮世絵の女も顔も鼻も長すぎるという感じがする。
おお藍摺の中の唇の紅の色よ
江戸の女性のファッションも面白い。いい模様。

ところで国芳も国貞も春画をめっちゃ描いているんですけど国貞の方が変態だ…という感じがする。

今回展示されているわけではないけれど、ボストン美術館はかなり所蔵しているはず。

くにくに展は6/5まで。まあまあ混んでいたし、会期早めに行くことをおすすめします。
江戸時代から何が好き?

もうすぐ上野の東京都美術館で若冲展が始まるから、それも行きたいな。

MIHO MUSEUMの館長監修とのこと
この展示が始まるより先にMIHO MUSEUMへ行ってしまうかもしれない!

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